絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 あっ!と思った次の瞬間。わたしは「ぽぽん!」という音とともに、人間からもふもふのヤマネコへと姿を変えていた。……そう、これこそが今世のわたしの本来の姿。わたしは現在ヤマネコに転生し、ヤマネコの社会で生きているのだ。
《ふみゃっ(ありゃ、変身しちゃった)》
 四本足で地面を踏みしめて視線を上げたら、うっすらと浮かんでいた月は完全に消え、空の主役は太陽になっていた。実は、わたしは日中こそ本来の姿であるヤマネコの姿をしているが、月明かりが大地を照らしている夜間だけ人間の姿になって〝月の魔法〟が使えるのだ。
 これを聞くと、魔法なんて便利なものが使えるなら、さぞお気楽な暮らしができるんじゃないか?って、きっとみんなは思うはず。だけど、わたしが持って生まれた月の魔法は、到底そんな便利なものじゃなくて……ぅうぅっ、神様はどこまでわたしに意地悪なのか。
< 8 / 252 >

この作品をシェア

pagetop