夜。

首都湾の港から
1台の白く大きなクルーザーが
出航し、
夜空に色鮮やかに浮かび上がる
キラキラのレインボーブリッジを
見上げながら、
波を分けて
くぐる。

「これは、、贅沢だな。
レインボーブリッジにタワー。
文字通り、ジュエリーBOXを
覗くみたいな夜景だアマネ。」

タモツは感嘆声に
笑顔を見せて、
手にしたシャンパングラスを
『チン☆』と、
僕んグラスに合わせた。

「ヒュー!タモツが口説き文句
吐くなんて、アマネ!珍しい
モノをみたよな?!雨降るぞ!」

そうすっと、
キヨヒコは
イルミネーションに照らされた
バンソコーだらけん顔を
僕んに向け笑うんな。

海から見える、
首都ビルの灯りが船上を彩って、
クルーザーの照明と相まり
宝石ん海を泳ぐみたく
錯覚する。

鼻を擽るんは、
島を懐かしく
思わせる海ん匂い。

あの『戀』騒動から1週間。

キヨヒコのバンソコーは
階下でリンコを庇った漢男の
勲章というか、、
降ってきた陶器で
細かい傷が出来とったんよな。

「キヨヒコさん!それ言い方!」

キリヤマが、
クルーザーには似合わん
和帽子に白衣姿で、
メバルの刺し身を舟盛りに
デッキテーブルば運んで
キヨヒコを
軽うぅ睨む。
あんなに顎で使われとる割に、
キリヤマはけっこう、
タモツを慕ってんよ。

「キリヤマって、マジに和食料理
人やったぞな?!もうタモツん
店のキャストや思ったよー。」

「アマネさん達は一体俺のこと
何扱いなんですか?!今日も
夜にクルージングパーティの
料理用意しろっていうから!!」  

喚くキリヤマはおいといてー。

台場からゲートブリッジを
抜けての、
今日はなんと!
ナイトフッシッシングクルーズ★

僕ん妻カレンが、
ワンココンシェルジュに
頼んどった
クルーザーの浸水式!!
カレンの出産祝賀もかねた
男だらけの
クルーズパーティなんよ!

そう!カレンさんが、、
カレンが
あの状態でよ、
女の子を生んでくれたんゞゞ

ゞゞゞゞ、、、


「キリヤマさんはぁ、ええじゃ
ねえですか!ぼくなんてぇ、
ずぅっと魚ぁ釣り上げさせ
られとっるぅですけえぇ!!」

今度は
釣りあげた、真っ赤なカサゴを
振り回しながら
ナリヒラが悲鳴上げるんが
舳先で見えるぞな。
よくまあ、こっちん話が
聞こえてるなっ!って位置から
脳筋3男の義兄ん隣、
竿を握ってんのはー
同島ん後輩=ナリヒラね。

「お前そんな筋肉でどうする
んだ?!うちにこい!鍛えて
やるぞ。な、アマネ。」

「やめっんせー!!」

それ絶ってー必要な!ナリヒラ!

あん日、
リンコらに薬盛られ
襲われたナリヒラと、
盛られたけんど、
未遂で逃げ切れた僕ん違いは、
絶ってー脳筋3男やよ?

結局、半裸にジャケット腰巻き
ナリヒラが帰れる場所なんざ
箱の寮。
無様なナリヒラを
枕差し出し笑うよーな、
箱んに
居れるわきゃなしやった。
なわけで、
カレンさんが用意してた、
地元ん不動産管理を
ナリヒラが
やれる様に
義理義理兄達にオネダリよ。

「えぇと置物ちゃん、あ、アマネ
さんのワイフさんですね🖤
話きいて驚いちゃいましたよ。」

おお!
台場のライトアップに、
空港から離着陸する飛行機を
背中にしょって
登場は、
『戀』でカレン達担の2人組!
アイドル系キャラ君と、

「ああ、だよな。つっか、
アマネさん、おめでとーっす。」

無愛想ツンツン頭野郎な!!

料理やら酒やらサーブの役目を、
いつの間にかやってくれるんが
やっぱ役なしキャスト
らしいとこよ。
でも、見込みあるぞな?!
おめーら!

飛行ランプが頭上を行きかう、
夜の湾を進む船で
僕ん知り合いで釣りしたり、
海鮮BBQできるんは、
手伝ってくれる彼等んお陰!

そして、そのBBQを焼いてんが
2人の箱代表『戀』の
ジョーさんなわけで、

「まあ、状況を聞くにつけ、
一概に祝いを述べるべきかは
迷うが。女児誕生おめでとう」

そんな風に
どっか泣きそうな顔して、
言葉かけて握手をしてくれる
溢れんばかりの
色気ダンディーよ。

僕んは、そんなジョーさんに
シャンパンを渡しながら、
緊張で、
おずおずと答える。

「ジョーさん、、ありがとう
ございますっ。本当に忙しい
のにこうして来て下さって、」

けれどもよ、
しっかりジョーさんに
真剣に
頭を低く低ーーーく下げた↘️!

「 すんません。しかも、
箱を壊すような事になってし
まうのは、僕んせいやのに。」

営業パフォーマンスじゃない
渾身の謝罪姿勢。

何故なら、

戦後夜街を牽引し、
ホストって文化を世界に
産み出した
国内最大老舗ホストクラブ
『戀』を閉店にさせてしもった。

1週間前のあん日。

規制が張られた『戀』は、
重傷者1名
軽傷者数名を出し、
事故と事件の両方捜索と合わせ、
営業時間よる風営法違反で罰金。
ついでとばかりに
国税調査も入ってこられ、
建物の耐震問題も報じられた。

メディアに取り上げられ、
事故はクラブ客の恋愛憎悪劇の
結末か?!と、当日のキャストや
ゲストがモザイク越しに
インタビュー報道されて
営業どころじゃなくなる。

そしてSNSで拡散されたのは
日本のホストカルチャー
産みの親店『戀』の閉店宣言。

世界のナイト業界に
激震を呼んだ1週間だったんよ。