憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました～ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる～

『あっ、あ、はい』


私、動揺が半端ないよ。


きっと、すごく挙動不審。


この場で1度落ち着いて深呼吸したい。


気づいたら半ば強引に連絡先を書かされて…


『じゃあ、また。中、待たせてるから』


『あ、はい。わかりました』


って、何がわかったの？


連絡先を書かされたって…嫌なら断れば良かったじゃない。


私、進んで書いちゃったよ。


何か軽い女だって思われなかったかな？


でも、先に聞いてきたのは向こうだし、先生の方が誰にでも連絡先聞いたりしてる軽い人なのかも知れない。


だって、あれから10年経ってるんだよ。


先生、あの時の誠実な先生じゃないかも知れない。


いろいろ考えながら、私、どうやって帰りついたかわからないけど、ちゃんと実家の玄関の前にいた。


しっかりしろ、気持ち切り替えなきゃ。


玄関のドアがしまる音、今夜のメニューだったカレーの匂いが残る家の中に、私は全く何もなかったかのような顔をして入っていった。


『ただいま！』