それはもう、叶うことのないはずの恋だった。
卒業式。



いつもなら眠くなっていそうな校長先生の話や来賓の話を、今日は眠くならずに聞いていた。



聞いていた、というよりも考え事をしていたから聞き流していた、の方が正しい。



あいつは本当に来るのだろうか。



そればかり頭に浮かんで、いつの間にか卒業式は終わっていた。



教室や廊下は、友達との写真撮影や、卒アルの書きあいっこで混み合っている。



私も、何人かの友達に卒アルのコメントを書いてもらった。



でも、その何人かのコメントは、書き込みスペースの4分の1も埋まってなくて、ちょっとだけ笑った。

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