離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~
5(風香視点)
 破瓜の痛みは、やがて甘いものに変わった。
 永嗣さんが普段使わない、という主寝室。その大きな、おそらくはクイーンサイズのベッドの上。
 自分から零れていると思えない、淫らな水音。
 初めて発する、甘やかで高い声。
 お腹の中が、ぐちゃぐちゃになってしまいそう、蕩け落ちてしまいそう。
 彼は言う。


「──子供だと思っているのなら、こんなふうにきみを抱いたりしない」


 私は揺さぶられながら、蕩かされながら、そして彼をぎゅうっと締め付けながら──納得する。
 契約上の夫婦とはいえ、不倫は彼のポリシーに反するのだろう、と。
 ならば私を抱くしかない。
 与えられる甘いキスも、蕩けるような快楽も、これは期間限定のもの。
 それでも私は彼の広い背中に手を回す。
 与えられた甘い一時を、一生忘れない思い出にするために。

< 37 / 84 >

この作品をシェア

pagetop