隠された彼の素顔
彼女の願い

「滑稽だと思うけど、この姿で許してほしい」

 今の姿について断りを入れてから、ダイニングテーブルを指し示し「座って」と椅子を勧めた。俺も彼女の前の椅子に座る。

 戦隊戦士のレッドとダイニングテーブルで向かい合う。こんなのコントだ。

 けれど彼女は、なにも聞いてこない。

「俺、自分の顔が嫌いなんだ」

 彼女は息を飲んだけれど、それでもなにも言わない。俺は続きを話す。

「小さい頃、女の子に間違えられて、からかわれた。子どもの頃は、背も低くて」

 名前のせいもあったと思う。そこは飲み込んで、続きを話す。

「大人になると、今度は女性に追い回された。身の危険を感じるくらいの恐怖だった。色々重なり、情けない話、軽い対人恐怖症なんだ。特に女性が苦手だ」

 そこまで話し、彼女の様子を伺う。意見を求められたと思ったのか、彼女は戸惑いつつ口を開いた。

「えっと、なんと声をかければいいか。言葉が見つからなくて」

「別にいいよ。変に慰められるより、ずっといい」

 彼女は眉尻を下げ、今にも泣きそうな顔をしている。胸が痛くなるその表情から目を逸らし、続きを話した。
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