こいろり!
18.お嬢様と、そして──





「「「泰良くん、退院おめでとう!!」」」


声が重なると同時にパーンとクラッカーの鳴る音が響いた。

居間の壁には"☆クリスマス&たい良♡退院おめでとうパーティー★"と、なにやら俺の似顔絵?が描かれた紙が貼ってあって。その周りは花紙やガーランドで飾り付けされている。

今日は真っ直ぐ帰ってくるよう言われていたけれど。どうやら、俺が学校に行っている間に準備されたようだ。




「本日はお招きありがとうございます。これつまらない物ですが……」

「すみませんねぇ、田渕さん()と比べたら本当(ほんとーに)に狭いところですが……」


最近はずっと華花にベッタリな周が母ちゃんに挨拶をしている。



「私、たこ焼きなんて焼くのはじめてだわ!泰良、美味しいの焼くから待っててね!!」


テーブル上にはたこ焼き器が設置されて、兄貴と華花がせっせと焼きはじめていた。




「なんだこれ?」


クリスマスカラーの三角帽子を被らされ、その上にはクラッカーのゴミが乗った状態の俺。



「だって、華ちゃんがどうしてもやりたいっていうから」


呆れる俺の隣で、ニコニコと笑う璃香子が声をかけてきた。



「なーんで、クリスマスでたこ焼きなんだよ。もっと肉とか肉とかチキンとかさぁ……」

「話の流れで、華ちゃんが たこパした事ないっていうからね。お鍋も楽しかったって言ってたし」

「…………あ、そ」


確かに華花はこういうの好きそうだな、なんて納得してしまう。



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