儚く甘い
メニューを見ながら嬉しそうにしているみわ。
その瞳は幼い子供のような無邪気さで、輝いている。

「醤油ラーメンに決めた!」
みわの言葉に達哉が店員を呼んで注文をしてくれる。
セルフサービスの水も、すっと立ち上がり達哉が用意してくれた。

「達哉って兄弟いるの?」
「・・・」
みわは達哉のことが知りたくて仕方ない。
でも達哉はあまり自分のことを言いたくなさそうに話を逸らすことが多い。
返事を返さない達哉に、みわはまた踏み込んではいけないところに踏み込んでしまったかと黙る。

「兄貴がいた」
「え?」
「兄貴がいた。」
「過去形?」
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