儚く甘い
達哉はすぐにみわのリュックを見つけて、屋上へと戻った。

幸いみわの体調には何も変化は起きていなくて、すぐに、薬を飲ませて、念のためにと休ませる。

「平気か?」
「うん。ありがとう」
屋上の扉に寄りかかりながら座る達哉。
みわはそんな達哉の肩に頭を乗せて寄りかかっている。

なにから言葉にしたらいいかわからない。
なんと言ったらいいかわからない。

2人はほとんど言葉を交わさないまま、次の講義をサボった。

いつの間にか寝息を立てるみわ。
泣きすぎて疲れたのだろう。
達哉は自分の上着を着ているみわの肩を引き寄せ、寒くないようにと守るように抱きしめた。
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