儚く甘い
変わりゆく日常
「ねぇ、私なら大丈夫だから」
「んー。」
「点滴が終わるまでの週に1回、約2時間、もったいないよ?」
みわは点滴用のリクライニングチェアに座りながら隣を見る。

そこには白衣姿の男。

「終わるくらいに来てくれれば大丈夫だから。なんなら自分でバスで帰るから」
「んー。」
みわの話に聞く耳すら持たない男。
簡易椅子に座り、何やら難しそうな本を読んでいる。

「聞いてる?お兄ちゃん!」
「聞いてる。そんな興奮すんなよ。血圧あがるだろ。」
「・・・」
みわの方に視線を動かした男はため息をつきながらみわの方に椅子を近付ける。
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