儚く甘い
残酷な病魔
「みわ」
大学の駐車場。
みわは毎日母か兄に大学までの道のりを送ってもらうようになった。
そして、達哉はいつも駐車場でみわを待っている。

「おはよう」
「おはようございます」
みわの母も、毎日みわを待っている達哉に、気兼ねなく声をかける。
まるで息子がもう一人増えたみたいだと、達哉の育った環境も知ったみわの母は何かと達哉を気にかけるようになっていた。

「これ、二人で食べてね」
仕事をやめたみわの母は毎日達哉とみわのために弁当を作る。
「いつもありがとうございます」
達哉はみわの母が手作りしてくれる弁当をひそかに楽しみにしていて、毎朝嬉しそうに受け取り、必ず完食して返していた。
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