儚く甘い
達哉の大学が終わるころがちょうど日も傾いていて外で過ごせる気温になる。

みわを車いすに乗せた達哉は、慣れた手つきでみわにつながれた点滴を近くに寄せて、車いすのハンドルと一緒に点滴スタンドも支えながら前に進みだす。

「今日はどちらまで?」
「屋上まで」
「了解」
2人一緒の時間をかみしめながらこうしてつかの間のデートを楽しむ。

「何か飲むか?」
「いらない」
「だめ。水分も大切だからな」
達哉は屋上にある自販機で、みわの好きなオレンジジュースを買うと、みわの元へと戻る。
「俺も一口飲みたい」
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