儚く甘い
ゆっくりと遠慮がちに近づく足音。

空を見上げたままの視線を戻すのが少し怖くて、ためらう。

”大丈夫”と自分の心に言い聞かせて、大きく空から空気を吸い込んで目を閉じる。


大丈夫。
もう一度そう言い聞かせてから、視線を自分の近くでとまった足音の方に戻した。

そして・・・。

そこに立っていた人に、もう一度目を閉じて、震え始める心を鎮めようと努力を始めたのは・・・


達哉だ。
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