周吾と別れた後、那津はホテルに向かった。貴弘がいないかを確認しながらロビーに入るが、彼の姿はなかった。

 きっと有休を一日だけとっていたのだろう。那津は胸を撫で下ろすと、エレベーターに乗る。

 部屋に戻ってベッドに寝転ぶと、ふと昨日のことを思い出す。

 あんなに熱い夜って初めてかも……。求められる喜びを思い出した。

 体がだるくて重くてちょっと痛い。でもすごく気持ちが良くて満たされてる。思い出すだけで頬が熱くなって、体が疼いてしまう。

 それからポケットから周吾にもらった鍵を取り出して眺めた。

『那津さんさえ良かったらさ、ホテルじゃなくて俺の部屋に来ない? 那津さんがここにいられるのはあと少しだし、せっかくなら時間を無駄にしないでもっと一緒にいたい』

 一週間だけの恋人……なのかな。それともこれ以降も続く?

 那津は起き上がると、決して多くはない荷物をまとめ始める。それからチェックアウトをするため部屋を出た。

 深く考えるのはやめよう。今は先のことは気にしない。残り僅かな周吾くんとの時間を楽しく過ごせればそれでいいや。

 もしこれで終わりだとしても、彼と過ごした時間はきっといつまでも心に残るはずだから。