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「いらっしゃいませ、3名様ですか?こちらのお席にご案内致しますね」
アルバイト初日であんなことがあったとしても、夏休み半ばに入った今日もあくせく働いていた。
やめようとは思わなかった。
せっかく雇ってもらえたというのもあるけれど、なにより人に恵まれてしまったから。
成瀬さんだってチーフマネージャーだって、その他のバイト生だって。
わからないことがあったら教えてくれて、なにかアクシデントが起こったとしてもみんなで助け合うことが出来て。
「お疲れさまでした…!」
「今日はごめんねぇ里見さん!ヘルプに入ってもらっちゃって…!ゆっくり休んで!」
「いえっ、また何かあったら言ってください!」
「ほんと助かるわ~。お疲れさま!」
今日は本当は休みだったわたしは、急遽体調を崩して来れなくなった人の代わりの出勤だった。
こういうことは良くあるらしく、普段はマネージャーや社員さんが補うらしいのだけど、今日はお盆ともあってどこの店舗も大忙し。
ちょうど予定の空いていたわたしが名乗りをあげたことで上手く回った奇跡的な日となった。