追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 ちゃらんぽらんに見えて、実は視野が広く、頭の良い彼ならファルナシオンをちゃんと導いてくれそうだ。
 それに、気楽に生きたいとか言っているけど、ディオにはちゃんと見えているのだ。
 決断した未来の先に、新しいファルナシオンのより良い姿があることを。

「間違っていないと思います。でもひとつだけいいですか?」

「なに?」

「未来になにが見えたとしても、きちんと言って下さい。私、ディオの秘密主義のお陰で、混乱したり驚いたり、そりゃあもう散々な目に遭ったんですからっ」

「うっ……それは、その……返す言葉もない」

 ディオがしおらしくなる様子にみんなが笑った。
 いつも何かを抱えてひとりで戦っている、そんな彼の支えになりたい。
 本当はそう言いたかった。でもそれは、次の機会にしよう。
 今は一刻も早くグリーランドに戻って、ヘンルーダたちに全てを語って聞かせたいと思っていた。
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