追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「住居というものは、最初は綺麗でも経年劣化で朽ちていくものです。土壁は剥がれ扉は軋み雨漏りがする。見たところかなり悲惨……いや、劣化が激しいようなので、まるっと新築にしてしまいましょう」

「建て直すのかい?」

 手を挙げてオットが言った。

「はい。簡単に家が建てられる便利なセットがありますので、それを使います。そこで、下準備として、土地を整地し直し地盤を水平にしたいと思っています。今、家が建っている土地はデコボコですから」

「整地か。最初に来た時、あまりの硬さに諦めたのだったな」

 腕を組み、しみじみと語ったのはウーノである。山の中腹の土地だから、ここは相当に地面が固い。
 ウーノのように力のある男でも、諦めてしまうのは納得である。

「ウーノさん、問題はありません。固い土もきちんと掘れる道具を出しますのでそれを使って下さい。ではまずそこまでしてしまいましょう。一時的に家が無くなってしまいますが、キャンプセットを用意してありますので、ご心配なく!」

 ざっくりと説明すると、ディオは組分けを開始した。
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