天才的ドクターの純愛〜封印したはずの愛する気持ちを目覚めさせたのは二十歳の彼女だった
第四章 過去のトラウマが邪魔をする
俺は真由香さんのベッドに近づいた。

真由香さんは咄嗟に俺の手を掴んで自分の方に引き寄せた。

ベッドに倒れ込んで、顔が急接近した。

真由香さんは俺の首に手を回し、抱きついてきた。

「大我先生、すごく会いたかったよ」

俺は真由香さんの手を俺の身体から離した。

「大我先生、手術頑張れってキスして」

真由香さんは目を閉じて俺にキスを求めた。

俺は彼女の頬を両手で挟み、キスをした、彼女のおでこに。

「頑張れ、執刀医は最上だ、安心しろ」
「うん」

俺は真由香さんの病室を後にした。

いつだってそうだ、俺はいざとなったら勇気がない、情けない男だ。

真由香さんの気持ちを受け止めることが出来ない。

裏切られた過去が邪魔をする。

三年前山風孝子との恋愛がそうだった。

俺の患者として現れた孝子は、すぐに俺に近づいた。

付き合いが始まり、積極的な孝子との身体の関係はあっという間だった。

何も疑うこともなく、孝子との愛に溺れていた。

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