天才的ドクターの純愛〜封印したはずの愛する気持ちを目覚めさせたのは二十歳の彼女だった
第八章 素直な気持ちをぶつける彼女
診察が終わって、内科医局へ向かった時だった。

大我先生いるかな。

ちょっと会えればいいなって安易な気持ちで内科医局へ向かった先の廊下で、大我先生と白衣の女性が立ち話をしていた。

声をかけようと近づくと、二人の話声が聞こえてきた。

「大我、体調大丈夫?顔色悪いよ」

「大丈夫だよ、ありがとうな、友紀」

「大我、ネクタイ曲がってる」

その白衣の女性は大我先生のネクタイを直してあげていた。

「いつもサンキュー」

「じゃあ、また、連絡するね」

「おお」

そして二人はしばらく見つめあって分かれた。

何?今の……

まるで恋人同士のようだった。

やっぱり、彼女いるんじゃん。

綺麗な人だった、大人の女性って感じで、同じ内科医かな。

私は涙が溢れて止まらなかった。

大我先生のバカ、彼女いないって言ったのに……

なんで嘘ついたのよ。

マンションに戻って布団を被って泣いた。

泣き疲れて寝ちゃったみたいで、気づいた時は既に陽が落ちて窓の外は真っ暗だった。

< 54 / 85 >

この作品をシェア

pagetop