好きだけど、好きなのに、好きだから
その様子を体育館の入り口で見ていたのは、大ちゃんと麻衣ちゃんだ。

「姉御、ちっす!」

大ちゃんが、私にハイタッチして挨拶してきた。

「佐伯、ナイッシュー!」

麻衣ちゃんは、佐伯君にハイタッチをする。

二人は佐伯君の中学の先輩だ。

大ちゃんは、二年生唯一のスタメン。

ちょっとヤンチャな見た目。

明るくてお調子者な、チームのムードメーカーだ。

なぜか、私の事を姉御と呼ぶ。

麻衣ちゃんは、二年生のマネージャーだ。

トレードマークはお団子ヘア。

責任感が強くて、とってもしっかり者だ。

大ちゃんと麻衣ちゃんは幼馴染み。

そして……

「おい!大と麻衣」

誠の怒りの矛先は、佐伯君の先輩である二人に向けられたのだった。
< 12 / 97 >

この作品をシェア

pagetop