魅了たれ流しの聖女は、ワンコな従者と添い遂げたい。

これで結ばれた?

*−*−*

 結ばれるのがこんな恥ずかしいことをするとは思わなかった。
 物語の中では、『そして、二人は結ばれた』なんて、さらっと書いてあるじゃない? それがこういうことをするなんて、詐欺だわ!

 最初は、カイルの引き締まった裸を見て、キャーッてなっていたの。
 私とは全然違う硬くて広い胸板に、筋肉のついた腕、熱くて硬いもの。

 でも、カイルに体中を舐められて、恥ずかしいだけじゃなく、体の奥がなんだかムズムズして、余裕がなくなった。
 そのムズムズは体を触られるうちにだんだん快感になって、どうしていいかわからず、ただ身をくねらせた。

「あ、あんっ……ゃあ、カイル、なんかヘン……」

 気持ちいいが積み重なって、なにかが弾けた。
 カイルが達するとかイったんだと教えてくれた。
 自分でも触ったことがないところをカイルにいっぱい触られて、また達した。

「でも、まだ挿れてませんよ?」

 熱い瞳でカイルが言う。
 そう、あのカイルの瞳に熱がこもってるの!
 いつもは穏やかな湖の水面みたいなカイルの瞳が、より深い青になって、ギラギラしている。
 上気した頬に、私を切望するかのような眼差しで見下されるだけで、体の奥がキュッとなる。
 恥ずかしいけど、カイルと特別なことをしていると思うとうれしくてたまらなかった。

「カイル……。『結ばれる』のはまだダメなの?」

 いっぱい気持ちよくされても、まだなにか足りなくて、満たされたいという思いが湧いてくる。
 ねだるように言うと、カイルが困ったように首を傾げた。

「俺も初めてだから、どこまで解せばいいかわからないのです。でも、どちらにしても、最初は痛いらしくて、申し訳ありません」
「痛いの?」
「はい。なるべく痛くないようにしたいのですが……」

 カイルのものが私の中に入るって教えてもらった。結構、無理があるわよね。そりゃあ、痛いかも。

(でも、私、頑張る!)

< 57 / 79 >

この作品をシェア

pagetop