望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
12.宿命
 長い夢を見ていたようだ。だが、それがなんなのか忘れてしまったのは、誰かに呼ばれたから。
「義姉さん」
 自分を義姉(あね)と呼んでくれるような人は一人しかいない。
「奥様」
 それは何人かが呼んでくれる。でも女性の声であれば、限られてくる。

「目が、覚めましたか?」

 その言葉で、ハッと目を開けた。飛び込んできたのは、心配そうにのぞき込んでいるアドニスとメアリーの顔。

「え、二人とも。どうかしましたか?」

「義姉さん。どうかしましたか、ではないですよ。今、何時だと思っているんですか? お昼過ぎですよ? あまりにも義姉さんが起きてこないから、心配になったんです」

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