望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
15.葛藤
 ローゼンフェルド、第一騎士団長室。
 レイモンドはそのドアをノックされたため、顔を上げずに返事をした。
「団長」
 と呼ばれ、書類にペンを走らせていた手をとめ、ここでやっと顔を上げた。この机の向こう側にいたのは、あのロバートだった。

「こちら、書類をお持ちしました。サインをお願いします」

「わかった。急ぎか?」

「できれば今日中に確認をしていただきたいのですが」

「ああ、そこに置いておいてくれ」
 とそこを顎でしゃくる。

「団長。それから」
 ロバートは机を回って、レイモンドの隣に立つ。

< 127 / 269 >

この作品をシェア

pagetop