望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
16.反乱
 家庭教師の時間が終わり、いつものようにアドニスとのお茶の時間。

「ねぇ、アディ」
 カップを口につけていたアドニスは目で返事をした。
「私が、家に戻りたいと言ったら、戻らせてもらえるかしら?」

 カレンの言う家というのは、ダレンバーナのことだろうか。

「それを聞く相手は、僕じゃないですよね。兄さんに聞いてください」

「そうよね」
 言葉とともにため息も吐いた。吐いたものを補うかのようにお茶を飲む。

 近頃、というかあのパーティ以降のレイモンドの様子がおかしい。まずはカレンのことを名前で呼び始めた。いつもは「おい」とか「君」であったのに。さらにもっと驚いたのは、深夜、寝ているときにキスをされた。それも一度ではない。夢かと思った。いや、夢だと思うことにしていた。

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