望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
25.侵入
 レイモンドの呼びかけで集まった騎士団のメンバーは、無理やり休みを取らされたローゼンフェルドの騎士全員だった。見かけによらず人望があるらしい、とカレンは思ったのだが、多分、それを口にすると彼がいじけそうなのでやめておく。
 集まったメンバーの中で、ひときわ暗い表情を浮かべている男がいる。確か、彼の名前は確かロバートだったか。
 カレンはレイモンドの後ろにそっと控えて立ち、彼らの話を聞いていた。それは大きな絶望が大半を占めていた。わずかな希望を見出すこともできない、というような。

「では、私が王太子妃の首をとりましょう」

 その闇を壊すかのようにカレンが口を開いた。レイモンドは驚いてカレンのほうに首を回すと、どんよりとした表情を浮かべている他の騎士達も顔をあげた。

「カレン」

 妻の名を呼ぶのはレイモンドだ。いきなり何を言い出すのか、と。

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