よくあるワンシーンで王太子から婚約破棄をつきつけられたロッサナ・トスカーニは、田舎の祖父母のところへ向かうところであった。というのも父親のトスカーニ侯爵が、その婚約破棄を知った途端、ものすごい勢いで怒り出して、お前なんかどっかへ行ってしまえ、と娘をポイっと捨てたからだ。

 母親のトスカーニ侯爵夫人はそんな娘を不憫に思ったものの、父親に歯向かうことはできない。でも、可愛い娘。引退して田舎に引っ込んでいる両親に連絡をしたところ、喜んでロッサナを引き取ってくれると言う。

 そんな流れで、売られていく子牛のような気分で、ロッサナは馬車に乗っていた。
 みんなが綺麗ねと褒めてくれた金色の髪は、ゆるく一つの三つ編みにしていた。白くてもちもちの肌も、みんなが綺麗ねと褒めてくれた。
 だが、これから待っている暮らしは華やかな暮らしではないのだ。逞しく生きてやる。