ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

(2)

(一体どうなっているんだ?)

 エディロンは自身のこめかみを指で押し、じっと目を閉じる。

(先ほど、明らかに動揺していたな)

 シャルロットの下を訪問した際の、彼女の様子を思い返す。
 本人は上手く隠せたとでも思っているようだが、エディロンはシャルロットのちょっとした表情の変化を見逃さなかった。何か秘密があるのではないかと追及したとき、シャルロットの表情が明らかに強張ったのだ。

(やはり何かしらの秘密はあるんだな……)

 王宮の外れにある離宮に引きこもっていた、十九歳の王女。病弱で、いつも俯いている陰気な女。英才教育を受けたこともなければ、剣の指南を仰いだこともない。

 何度報告書を読み返しても、エディロンの先ほど話した女性とこの調査報告書のシャルロット=オードランが結びつかない。
 エディロンが知るシャルロットは行動的で快活、表情が豊かで美しい女性だ。さらに、驚くほど博識で、剣も扱える。

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