今日は特に予定もないから、屋敷で一日過ごすことになっていた。祖父母も、今日はこちらを訪れる予定はない。

 王都の屋敷にも、錬金術を行うための設備は備えられている。

 一階の南側が、父の仕事場なのだ。領地の屋敷ほど広くはないけれど、ここでは大々的に研究をすることはないのでこの程度でいいそうだ。

 父は机に向かって、書類仕事をしている。新しい魔道具が最近増えてきたため、父が署名しなければならない書類がだいぶ増えたそうだ。

 そんな父の様子を見ながら、ミリエラはディートハルトとライナスのことを考えていた。

(……ライナス殿下も気の毒よね。だって、ディーと引き離されちゃったみたいなものだもんね)

 もしかしたら、ライナスがディートハルトのことを大好きなのは、今のうちだけなのかもしれない。

 大人になって、王座の価値を知り、大人達の思惑がわかるようになったらディートハルトと対立するようになるのかも。

 けれど、今、ミリエラが心配すべきなのはそこじゃない。

 ライナスからしてみれば、大人達の思惑なんてどうでもいいことだろう。