天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！２

第二章 野営には快適テントが必要です！

カークとディートハルトは午前中に剣術の稽古を終え、午後からは一緒に遊ぶというスケジュールの日。
午前中、ミリエラは部屋で基本的なマナーと文字の練習をしていた。

　もう字は書けるのだが、美しい文字を書くための練習はまだまだ必要なのである。
　父は、今日は取引先をもてなすための昼食会、オーランドは父の付き添い。ニコラに見守られながら、四人で昼食をとる。
　今日の昼食は、肉団子と野菜をトマトソースで煮込んだもの。トマトの他にもいろいろな野菜がソースに使われていて、これだけで栄養満点の一品である。

「来週は、僕、三日くらい来られないと思うんだ」
「なんで？」

　食事をしていたディートハルトが不意に口を開き、ミリエラは首を傾げた。

「野営の訓練に行くことになった。テントを張って外で寝るんだよ。魔石もとってこようと思う」
「すげぇ！　いいなあ！」

　ちぎったパンをトマトソースに浸していたカークは、ぽしゃんとパンをソースの中に落としてしまった。

「こら、カーク。パンを落とさないの」

　ニコラに叱られ、スプーンでパンの救出にかかる。