ミリエラの発明したテントは、〝快適テント〟というわかりやすい名前で発売されることとなった。保冷布に続き、とてもとてもわかりやすい名づけである。

 あっという間に評判が広まったのは、ディートハルトの屋敷にいる護衛達から王宮に報告が上がったかららしい。

「テント、気に入ってもらえてよかったねぇ……」

 そんな話をしている今は、父の仕事部屋、すぐ隣の席にいる。

 書類仕事をしている父の邪魔をしないように、ミリエラ用に用意してもらったデスクで、文字の練習をしているところだ。

 父の仕事部屋に、ミリエラの居場所があるのが嬉しい。去年までとはまったく違う日常だ。

 父は山のように届けられた手紙を、自筆で返事を書くもの、代筆させるもの、返事は不要と振り分けている。

 返事は不要の箱に入れられた箱に手を伸ばし、ミリエラは一通の手紙を取り出した。

(パーティーの招待状だ)

 それは、近隣で暮らしている貴族からの招待状だった。父は王都と領地を往復しているから、王都からの招待も近隣からの招待も、タイミングさえ合えば出席できる。