孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
挑戦の先のプロミス
先週仕事始めを迎えたと思ったら、あっという間に一月も第二週目――。
午前中に入った婦人科のロボット支援下内視鏡術が終わり、私はナースステーションに戻った。
途端に、肩にドッと疲労が降ってくる。


霧生君に下手な色仕掛けをして失敗してから、私はずっとどんよりと沈んでいる。
今日は、要求されたメスの型番を間違え、渡し直すのに余計な時間をかけてしまった。
新人ならともかく、八年目の看護師としてはあり得ないミス。
手術室看護師の中では中堅どころで、後輩の前で模範にならなきゃいけないのに、私情を持ち込んで仕事に集中できないなんて、自分が情けなすぎて浮上できない。


無意識に操を探してナースステーションを見回したけど、彼女は心臓外科の園田教授が執刀する人工血管置換術という難関オペに入っていて、一日通し。
最近、休憩時間が合わず、ゆっくり話もできない。
私はがっくりと肩を落とし、一人で休憩に入った。


食欲はない。
地下にある院内コンビニで、ツナマヨのおにぎりといちご牛乳だけ買って、食堂に行った。
窓際に空いているテーブルを見つけ、椅子に腰を下ろした。
途端に、お腹の底から深い溜め息が漏れる。
< 142 / 211 >

この作品をシェア

pagetop