キミの魔法にかけられた~隣のデスクの無愛想な後輩が急接近してきて!?~
魔法にかけられた


「部長、先程の資料完成しました」

「は?」

午後の仕事開始から1時間。頼まれていた資料をまとめて提出をしたところ、椅子に座っている部長は間の抜けた声を出した。


「午前中に頼んできた資料ですよ?」

「え、いや……。ちゃんと見直しをしたのかい?」

部長は眉を潜めて私に疑う様に視線を向けてから、その資料に目を落とす。


「はい。完成してから、3回 確認しました」

なんて私が口にすれば、ダブルクリップで留められたその資料を、部長が1枚ずつ捲りはじめていく。


「無い、無い、無い……」

そして、おかしな物を見ているかの様に資料を持つ右手が震え出した。


「な、何がですか?何か足りない部分が……」

「誤字、脱字が1つも無い!!」

「……!?」

奇跡だ、なんて言葉を続ける部長。
"どんだけよ"と唖然としていれば、視界の隅に"ブッ"と吹き出した甲斐くんの姿が入った。


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