「え、つまり、少し生意気くらいの方がいいってことですか?」

私の勢いに押された様子の匡さんは、少し驚きながらも頷く。

「ああ……まぁ、そうだな」

肯定する匡さんに、ひとつヒントがもらえた気分になり自然と頬が緩んでいた。

今までは都合のいい女でありたい好かれたいと思うあまりというのもあり、それに単純に匡さんが好きすぎて聞き分けがよくなっていたけれど、そうじゃない方がいいのか。

つまり何も我慢しない素のままでいいということだ。
意識して敬語を使い始める前の自分に戻ればいいだけだし、そんなの簡単だ。

すぐにでもシフトチェンジすれば、匡さんにとってもっと都合のいい女になれると意気込み、何か生意気な言葉やわがままを言ってみようと思い匡さんと目を合わせたのだけれど。

「匡さ……ん」

名前を呼び終わる前に再度キスされ、ついでに「続きは夜だな」と耳元で色気を含んだ声を出されてしまえば二の句なんて告げないし、その後の夕食の味もよくわからなくなってしまったのだった。