ママの手料理 Ⅲ

新境地

時は流れ、数日後。


現在、私達は10時間を超える長旅を終え、遂に待ち望んだアメリカ大陸にその足をつけたところである。


真夏のアメリカは湿気も少なく、とにかくカラッとした暑さが特徴的だ。


ついさっき到着したばかりなのに、私の服は汗で身体にべっとりと密着していた。



「やばい!俺達、遂にレッツアメリカしてしまった!ハローハロー!」


空港を出た広場では、あんなに飛行機で騒いでいたのに時差ボケを感じさせない勢いで大也がキャリーケースに座って大はしゃぎしていて。


金属検査で引っ掛かったら困る、という謎の理由でいつものウィッグを身に付けていない彼は、何故かアロハシャツに短パン、そしてミラーサングラスといういでだちだ。


「お前ら早い…ううぅ死ぬ、」


空港の出入り口からふらふらと現れたのは、酔ったせいでせっかくのビジネスクラスフライトを楽しめなかった銀ちゃん。


その後ろから、続々と怪盗mirageのメンバーが姿を現した。


「じゃあ点呼するね!1,2,3…よし、8人全員居る!」


他の人達の迷惑にならないよう、広場の隅に移動した私達の数を湊さんが確認する。


結局、伊織は搭乗時刻までに出発ゲートに来なかった。


8割型来ないだろうと予想は立てていたけれど、それでも少し残念に思う。
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