契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
 いくつになっても幼さが残る笑顔を見せられると、つい甘やかしたくなってしまう。

「今さっきニューヨークから戻ったばかりの俺に飯を作れと?」

「優しい兄さんなら作ってくれるだろ?」

 なんだかんだ言いつつ、篤の言う通り頼まれると断れない。それに料理を作ることが好きで、今夜もなにか作ろうと思いしっかりと材料も購入済みだ。

「篤は鼻が利くな。今夜はパスタにしようと思っていたんだ」

「え! それって俺が好きなスープパスタ?」

「あぁ」

 廊下を進みながら答えると、篤はガッツポーズした。

「ラッキー。腹空かせてきてよかった。早く作ってよ」

「はいはい」

 無邪気な笑顔につられて俺も頬が緩んでしまう。

 着替えを済ませ、すぐに調理に取りかかる。その様子を篤はリビングのソファから眺めていた。
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