契約夫婦を解消したはずなのに、凄腕パイロットは私を捕らえて離さない
 しかしその後もなにかと凪咲には避けられる毎日が続いた。メッセージは素気ないし、電話にはなかなか出てくれない。時間が経ってから【電話に出られず、すみませんでした】とメッセージが届くばかり。

 それに空港内でも顔を合わせてもよそよそしくて、目を合わせてくれない。篤と三人で会う話もまとまらず、それどころかふたりで食事にも行けない日々が二週間ほど続いた。

 いい加減、凪咲になにかあったのだと気づく。考えたくないが、俺がなにかしてしまった可能性が高い。

 もし嫌われてしまったら、俺はどうやって生きていけばいいのだろうか。

 そう思うとなかなか凪咲に面と向かって俺がなにかしたのか、気を悪くさせることをしたなら謝るから許してほしいと言えずにいた。

 そんな中だ、社内で思いもよらぬ凪咲の噂を耳にしたのは……。
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