エリート極上男に堅物女で有名な私が何故か執着されています【完】  ~続編更新中~

私の違和感と比例するように彼からのお誘いが多くなった。

いつものように柔らかい笑顔を浮かべて待ち合わせ場所で出迎えてくれる。


その日もいつものように映画を見る予定だった。


「これが見たいんだ」

「え、これですか?」

「うん、だめかな?」

そう差し出されたチケットにはホラーやオカルトの要素がたっぷりと入っているシリーズものが印字されていた。

こういうのは昔から大の苦手。

「いやぁ、まあ、大丈夫です」


本当は断りたかったけど、もうチケを買ってしまっている。

それをキャンセルさせるのも気が引けた。

最悪、耐えきれなかったら目を瞑ればいいか…。


「キャ~!・・・あ、ごめんなさい」

「ううん、いいよ」


例にもれず私は小鹿のように震えていた。

目を瞑って視界をアウトさせるけど、音だけでも怖い。

臨場感が半端ない。


思わず隣にいる野村さんに抱き着いてしまったけど、慌てて離れた。

彼は終始笑顔だった。

男性はこういった状況を期待して女性をホラー映画に誘うと聞いたことがある。


もしかして、この人は私をそう意識し始めているのだろうか?

もうそろそろ、きちんと答えを出さなくてはいけないな。

目の前の惨劇の音に怯えながらも、そんなことを考えていた。

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