溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。

夏、花火の下、一緒にいるのは


次の日。

私は、なんだかこれ以上先輩といて、好きになってしまうのが怖くて、昨日は先輩とももう関わらないで、お昼も共には過ごさなかった。


そして、なんやかんやで夏休みになってしまったのだ。


もちろん、下校など一緒にできはしなかった。


……私、もう先輩のこと好きになるの、やめたいと思っている。


あんな振られ方をしたら、立ち直れない。

だから……だから、私は先輩とはもう関わらない。





そして、迎えた夏祭りの日。


私が、一緒に夏祭りに行くのは……。


「ごめん蒼、待った?」

「いや。別にじゃあ行くかー」

「うん!」


蒼だった。


「蒼、似合ってるね浴衣」

「……お前こそ」

「あはは、ありがとう」


街行く人の視線が、みんな蒼に向いているような気がした。

なんだか……。


晴れていた心が、曇ったみたいだ。


けれど……いつか、晴れてくれると思う。


もう、恋なんかしないかもしれないけれど。


「射的でもやるか?」

「あ、うん!」

「……真白ちゃん?」

「……え?」


蒼と、楽しいがスタートしそうだったのに、目の前に現れたのは、地味な格好をした千星先輩だった。


「ど、どうして……」

「どうしてって……。真白ちゃんが、【もう先輩とは関わりません】とか言うから」


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