この水嶺(すいれい)に遊ぶ
二つの命(フィラメント)に、
水がなびく。
砂が踊る。
水の波は音を奏で、
砂の舞は音を纏う。
やがて一つに交わった愛は、
あたかも糸と糸が縒りそうように
一本に紡がれて、
水面に伸びたその穂先は、
地下洞にこの世のものとは思えぬほどの
まばゆい光を発した──
- あらすじ
水の豊かな国リムナト前王の子息レインと、隣国の砂の国ナフィルの王女アンシェルヌが巻き込まれた「ニ国」の過去と未来を巡る数日間の物語。
不思議な洞穴に湛えられた「命の水」に秘められる謎から、愛情溢れる想いが導き出されます。
(副題にアルファベットのある回は、登場人物のイメージイラストがございます【多謝:az様】)
──中世ヨーロッパの風景を思い浮かべながら、何卒お手にお取りください──
目次
- ◇ 第一章 ◇
- [1]降り出した雨 〈A〉
- [2]濁り出した水 〈R〉
- [3]流れ出した風 〈P〉
- [4]燻(くすぶ)り出した炎
- [5]巡り出した星 〈M〉
- ◇ 第二章 ◇
- [6]救われた心
- [7]散らばる砂
- [8]謎めいた泉
- [9]隠された道
- [10]揺らいだ刻(とき)
- ◇ 第三章 ◇
- [11]裏腹の再会 〈 I ・L〉
- [12]月下の標的
- [13]混濁の過去
- [14]歪曲(わいきょく)の末路 〈N〉
- [15]禁忌の記憶
- ◇ 第四章 ◇
- [16]血の繋がり、泉の力
- [17]天使の恋、決断の時
- [18]古(カコ)の過(あやま)ち、未来の夢 〈S〉
- [19]名の秘め事、母の愛
- [20]水の波音(ナミオト)、砂の音波(オトナミ) *
- ──* 各名称の語源 *──〈A♡R&…〉
- [あとがき & ご報告]