紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
私の身に、王道展開なんてあり得ません
「灯(アカリ)さん、今日のランチ、あのオシャカフェ行きません?」


まもなくお昼という時刻。隣のデスクの珠理ちゃんが、SNSで一目惚れして奮発して買ったという長財布を片手にオフィスチェアごとくるりと私の方を向いた。


「行きませんー。今日はふじさわ食堂の唐揚げ定食食べるって決めてるから」

「えー!一緒に至福のランチセット食べましょうよ!小鉢3つ、選びましょうよ⁉︎」

「却下。あんなキラキラ女子たちが集うオシャカフェなんて、居心地悪いわ、量が少ないわで全然食べた気しない。おじちゃんたちが集うふじさわ食堂の方がよっぽど馴染むしお腹も膨れるわ」


珠理ちゃんの言うオシャカフェは会社の近くにあり、季節ごとに変わるらしい数種類の小鉢から3つを選んでいただく至福のランチセットが人気。3月上旬の今の時期は春野菜を使った小鉢が"季節限定"と強調され、リコメンドされていた。

最近出来たカフェで一度珠理ちゃんに半ば強制的に連れて行かれたのだけれど、まぁいるわいるわ、右を見ても左を見ても私とは縁遠いキラキラした女子たちが。

しかもオシャカフェだけあってヘルシーで量が少ない割に値段は千円オーバー。それじゃあ美意識の高いキラキラ女子たちのお腹は満足させられても私のお腹は到底満足させられない。

ふじさわ食堂ならワンコインのメニューでさえ私のお腹は大満足のコスパの良さなのに。
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