――目を開けたら知らない男の顔が見えた。
……ああ、これはやっちまったパターンか。
なんとなく納得し、もそもそと寝返りを打って再び目を閉じる。
昨日は、悪いお酒だったもんなー。
仕事押しつけられたうえに、評価は横取りされて。
あんな会社、いい加減辞めたい。
相手は目を覚ます気配がないし私も二度寝しようとしたものの、ありえないものを見た気がして思わず起き上がっていた。
「ツノ!?」
「うるさい……」
私の声に反応した男がそのツノが邪魔にならないようにか、角度を変えてまた枕に顔をうずめる。
「ええっと……」
酔った勢いで男を連れ込み、一夜の過ちを犯したまではいい。
……いや、よくないが。
しかしそこまではそこそこありがちな展開なので、まだ理解できる。
問題は彼の頭に生えているあの――ツノだ。
「本物……?」
起こさないようにそーっと、それに触ってみる。
きっと、コスプレの作り物だと思う。
けれど、いくら揺らしたところで外れる気配がない。
「えっ、ちょっ、なんで!?」
次第にどうにかして取ってやろうと躍起になっていた。
「痛いんだけど」