極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません

捕まりました

太朗さんのマンションから逃げ出し、駅まで来てこれからのことを考える。

このまま東京に戻ってどこかのホテルに2,3泊するのもいいし、戻らずに近くで宿をとるのも悪くない。
こんな体だから無理はできないけれど、せっかく来たのなら少しでも旅行気分を味わいたいかな。
そんな思いで、行き先を調べた。

黙って出てきてしまった手前、太郎さんの事はとても気になる。
さっきから着信はひっきりなしだし、メッセージもくる。
普段の太郎さんからすると強めの言葉でつづられたメッセージは彼の怒りを表しているようで、怖ささえ感じてしまった。

そりゃあね、怒らない方がおかしいのよね。
妊娠している女が、勝手に、黙って、1人で逃げ出したんだから。
子供の父親だと信じている太朗さんとしては怒り心頭だろう。
当然のことだと思う。

はぁー、この先どうなるんだろう。
自分が蒔いた種とは言え、不安でしかない。

「あ、美貴お姉さん」

えっ。
聞き覚えのあるかわいい声がして、私の動きが止まった。
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