4番目の彼女

11.孤高の女神様

 目が覚めると暖かい布団に包まれて横になっていた。窓辺にはクリスタルトロフィーを見つめる影。

「徹志くん? 」

「起きた? お疲れ様。まだ寝てなよ」

「うん」

 彼はベッドの横に膝をついて、子供を寝かしつけるように私の髪を撫でた。
 あぁ、幻だと思ってた徹志くんは私を迎えに来てくれた本物だったんだ。

「迎えに来てくれてありがとう。私一人だったら帰宅途中に凍死しちゃってたかも」

「クリスマスは一緒に過ごそうって言ったから」

「ごめんね。仕事終わるの遅くなっちゃって」

「大丈夫。気にしないで」

そう言いながらも、やっぱり元気がないように見えるのは私のせいなんだろう。知らなかったとはいえ、きっと深夜まで外で待たせてしまったに違いない。
そんな私の自責をくみ取ったのか、彼は優しく目を細めた。

「きぃちゃんはすごいね。また一人で乗り越えて」

「また? 」

「中学の文化祭でさ、きぃちゃん一人で書道部の出し物やったでしょ。それで部活賞とったの」

「ふふ、そんなこともあったね」

「きぃちゃんは、あの時から俺の孤高の女神なんだよね」

「なにそれ、女神って……初耳」

「誰にも言ったことないもん」

 知らないうちに『孤高の女神』の称号を賜っていたとは。あの時の私は、孤高ではなく孤立と言った方が正しい状況だった──。

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