たとえ、この恋が罪だとしても
第3章 よぎる不安
〈side Ayano〉


 中学、高校とコーラス部に所属していたわたしは、社会人になってからも私設の合唱団『ムジーカ・アルモニーア』に所属していた。

「文乃ちゃん、声の調子良さそうね」

 発声練習をしていると、リーダーの美紀さんに声をかけられた。
「はい、ネットで『大根の蜂蜜漬け』というのを見つけて、作ってみたら喉の調子が良くなって」
「へえ」
「明日、皆さんにも作ってきますね。はじめてのコンサートですし」
「まあ、ありがとう。みんな喜ぶわ。あっ、そうそう、彼氏は観に来てくれるの?」
「残念ながら、出張で大阪に行っているので」
「あら、そうなの。お会いしてみたかったのに」
「また次の機会に連れてきます」

 たぶんそのときには、「彼氏」じゃなくて「夫」として紹介するんだと思うと、なんだかくすぐったい気分になる。
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