さあ、離婚しましょう  始めましょう
「それで結婚まで……」
「だからそれは完全にお酒の勢いでね」
慌てて否定するも、佐和子は私をジッと見た。

「違うわよね。結局」
「え?」
言われた言葉に、私はフォークを一度テーブルに戻した。

「弥生も尋人もお互い好きだから、そんなバカな真似したに決まってるじゃない」
呆れたように言った佐和子に、私はポカンとしてしまう。

「お互い嫌いだったら、いくらお酒が入ってたからって誰が結婚なんてするのよ。私なら絶対無理」
パクリとアヒージョを口に入れると、佐和子は一気にグラスをからにした。

「そう……かも」
今となれば確かにその通りかもしれない。お互い勘違いから始まったが、すれ違いつつもずっと一緒にいた。
「まあ、弥生と尋人らしいわ」
そう言われてしまえばもう何も言えない。
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