こんなのアイ?
eleventh chapter
あのディナーの翌週、3月から彼は車で事務所に迎えに来るようになった。迎えはいらないって言っても、もうあの電車に乗せられないの一点張りで車ならかかる時間は半分だと言い譲らない。皆普通に乗る電車なのに克実も黙認しているという異様な状態で2週間。
「あと2週間で病院勤務が終了したら4月から俺が迎えに行くよ」
「ほんとおかしい会話だと思うんだけど…私28よ」
「皆藤さんの言っていたことは間違いないと思うんだ。愛実が気づいてないだけで…危険過ぎるだろ」
克実は私の部屋で夕食を食べながら真面目に言う。
「ここ…ここには皆藤さん来るのか?」
「来ないよ」
「そうか」
「週末一緒に食事をしてるけど、外で食べてる」
「最近どうなんだ?」
「どう…って?悠衣のこと?」
私の問いかけにお味噌汁のお椀を置きながら克実が二度頷く。
「落ち着いて安心して話せる…心地よい時間だね、彼との時間は…そして時々ドキッとする」
克実はふっと笑いを漏らし
「28じゃなく、18の女の子の感想文みたい」
「そう?」
「いいと思うよ…愛実は大学4年間付き合った相手と結婚しただろ?その頃の気持ちから始めればいいよ、もう一度」
そう言い王子の笑みを浮かべた。