こんなのアイ?
thirteenth chapter





 5月6月7月、悠衣のマンションで暮らすこと3ヶ月ほど。彼は自分の出勤を少し遅らせ毎朝私を事務所へ送ってくれる。そして帰りは克実が迎えに来てくれる。出張などで予定が合わない場合は二人が直接やり取りして、互いの代わりに送迎してくれるという気の合うところを見せているが、7月20日の最終出勤日の迎えをどちらがするかで争いが勃発していた。

「ねぇ、二人とも気持ちは嬉しいんだけど」
「「俺にする?」」
「いや…声揃えないで…そうじゃなくて、その日事務所の最寄り駅の近くで私が二人にご馳走したいの。ずっと送迎してくれたお礼に…5時半とか6時くらいに車じゃなくて電車かタクシーで来られる?」

 二人は顔を見合せたあと

「「行く」」

 と声を揃える。ほんと気が合うところもあるのよね。

「居酒屋みたいな鳥屋さんなの。焼き鳥はもちろん鶏たたきも美味しいし、だし巻き玉子も外せない。一緒に行こうね、悠衣、克実」

 こうして無事、税理士事務所勤務を終え、二人にご馳走し…当然のように二人は支払うと声を揃えたが何とか全力で拒否した…そして1ヶ月と少しの休みを経て9月1日に‘なかのこどもクリニック’の開院となる。

 今月中には院内の全ての物が揃うということで、看護師さんたちと内覧のようにクリニックで顔合わせをすることになった。
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