陰謀のための結婚
始まりは蜃気楼

「きみが香澄(かすみ)さん? これは随分と美しい人だ」

 歯の浮く台詞も、彼が言うと絵になった。彼の方こそ美しい顔立ちで、目が離せない。

 二、三言葉を交わしただけなのに、彼の瞳に引き寄せられるように顔が近づいて、気付けば唇を重ねていた。

 けれど惹かれてはいけない。この出会いは陰謀から始まったのだから。


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