甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
第4章 弟のフットサルチーム
〈side Natsuki〉

「なあ、姉ちゃん、頼むよ」

 4月の最後の週末、法事があり実家に帰った。
 東京から電車で1時間半ほどのところだ。
 昨年、東京で就職した弟の孝之も帰ってきていた。

 夕食後、居間でテレビを観ていると、孝之はわたしの隣に腰を下ろした。

「マネージャーがふたり同時にやめちゃって、今危機なんだよ。次が見つかるまででいいから、やってくんない?」

 弟とは4つ違い。
 彼は小学生のころからサッカーをしていて、今も大学時代の友人とフットサルをやっている。

 弱小チームで、まだ一勝もしたことがないらしい。
 にもかかわらず、身の程知らずの弟は、将来、全日本選手権に出場したいと本気で思っているらしい。
 それで週に2日、都内の練習場を借りて熱心に活動していた。
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