甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》
perfect lover*理想の恋人
「後藤先生が紫乃を誉めてた」
午後はオフィスで無事仕事をして、夕食に親子丼、ナスのごま和え、お味噌汁を二人並んで作っている。
「何かしたかな?」
「資料が俺の作っていた時より見やすいって」
「壱は忙し過ぎたんだよ」
私が豆腐とナメコの味噌汁にするため、豆腐のパックを開けると
「紫乃、それ絹豆腐だな」
「そうだね」
「今度から木綿豆腐買う。紫乃もな、買うのは木綿」
突然豆腐にこだわりを持つ壱を不思議に思った。
「わかったけど、突然のこだわり?」
「紫乃が寝てる間に調べたら、絹より木綿の方がマグネシウム含有量が多い。たんぱく質もだと。頭痛が起こってから食べるのじゃなく、毎日少しずつの努力だが継続して体調を整える方がいいと思って」
どんぶり用に卵を割りながら言う壱を見上げて
「ありがとう、壱。今度からそうする。続けてみるね」
と言うとチュッと唇が重なる。持っていた豆腐を落としそうになったのを壱が支えてくれたので助かった。今のはチュッとするタイミングか?そうだったの?